九九の前にやるべき「かけ算の意味」の理解

「九九はそのうち覚えるとして、今のうちに何をしておけばいいのだろう」
「2ずつ増えることはわかるのに、式になると急にあやしくなる」
「答えは言えても、どうしてその式になるのかは説明できない」

小学生の算数では、かけ算に入る前後でつまずく子が少なくありません。保護者の立場からすると、「とにかく九九を覚えればいいのかな」と思いやすいのですが、実はその前に大事なのが、かけ算の意味をわかることです。

かけ算は、ただ答えを暗記する単元ではありません。同じ数のまとまりをいくつ分と考える見方が育っていると、その後の九九も文章題も入りやすくなります。反対に、意味があいまいなまま暗記だけ進むと、答えは言えても式が立てられない、少し形が変わると止まる、ということが起きやすくなります。

家庭では、早く九九を言えるようにすることより、「この子はかけ算をどう見ているかな」を見ることが大切です。ここでは、九九の前に見ておきたいポイントと、家庭でできる関わり方を整理します。

かけ算の意味があいまいな子に出やすい様子

1. たし算で毎回数えている

たとえば、2が3つ分なら 2+2+2 と考えられるところを、毎回1つずつ数えて答えを出している子がいます。この場合、答えは合っていても、「同じ数がくり返されている」という見方がまだ弱いことがあります。

かけ算の土台になるのは、この「同じ数がそろっている」という見方です。ここが弱いままだと、九九を覚えても、どんな場面で使うのかがつながりにくくなります。

2. 「何がいくつ分か」が言えない

かけ算では、「1つ分の数」と「いくつ分か」を分けて考えることが大切です。ですが、ここがあいまいな子は、絵や問題を見ても、何を何個として見ればよいのかわからなくなります。

たとえば、お皿が3枚あって、1枚にみかんが2個ずつある絵を見たときに、「2が3つ分」と言えればよいのですが、ただ全部の数だけを見て終わってしまうことがあります。

3. 式は書けても、場面とつながっていない

「3×2」や「2×3」と式は書けるけれど、どちらがどちらなのか説明できない子もいます。これは、数字の並びを何となく覚えていても、場面と式がまだ結びついていない状態です。

小学校の初めのかけ算では、答えが合うことだけでなく、「何がいくつ分か」を言葉で言えることがとても大切です。

九九の前に大事にしたい見方

同じ数のまとまりとして見る

かけ算は、「同じ数を何回もたす」見方をまとめたものです。だからこそ、最初は式を急がず、「同じ数がいくつあるかな」と見る練習が役立ちます。

たとえば、
「3こ入りの袋が4つあるね」
「2まいずつお皿があるね」
というように、生活の中でも見つけやすい場面があります。

こうした場面で、「何がいくつ分かな」と声をかけるだけでも、かけ算の見方は育ちやすくなります。

たし算とかけ算をつなげる

いきなり九九に入るより、
2+2+2 は 2が3つ分
3+3+3+3 は 3が4つ分
というように、たし算とかけ算をつなげて考える方が入りやすい子は多いです。

このつながりがあると、九九がただの暗記ではなく、「ああ、あのまとまりのことか」と理解しやすくなります。

家庭でできる関わり方

まずは絵や物で「いくつ分」を言葉にする

ブロック、おはじき、お菓子、洗濯ばさみなど、同じ数を並べやすいものを使って、「2が3つ分」「4が2つ分」と言葉にしてみるのがおすすめです。

ここでは、正しい式をすぐに書かせる必要はありません。まずは「同じ数がまとまっている」と見えることの方が大切です。

「全部でいくつ?」だけで終わらせない

子どもは、全部の数を数えることは意外とできます。ですが、そこで終わると、かけ算の見方にはつながりにくいです。

「何がいくつ分だった?」
「1つ分はいくつだった?」
と聞き返すことで、まとまりに目が向きやすくなります。

九九を急ぎすぎない

周りが九九に入る時期になると、保護者としては焦ることもあると思います。ですが、意味があいまいなまま覚えると、後で文章題や図の問題で止まりやすくなります。

九九そのものを覚えることはもちろん大切ですが、その前に「かけ算はこういう場面で使うんだ」と見えている方が、結果的には定着しやすいです。

まとめ

九九の前に大切なのは、かけ算を「同じ数のまとまりがいくつ分」として見られることです。たし算で毎回数えている、何がいくつ分かが言えない、式と場面がつながっていない、といった様子があるときは、まず意味の理解から支えていく方がうまくいきます。

家庭では、物や絵を使って「何がいくつ分か」を言葉にすること、たし算とかけ算をつなげること、「全部でいくつ」だけで終わらせないことを意識してみてください。

九九は、早く言えることより、意味が見えていることの方が大切です。急いで暗記に進むより、まずはかけ算の見方を育てるところから始めると、その後の学びがぐっと安定しやすくなります。

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